前の記事に書いたような経過で、ワンワールドの世界一周航空券を使ってのフライトプランの計画をしていました。
そこに、衝撃のニュースが飛び込んできました。
それは、2019年9月末に、ワンワールドの一員であるlatam航空が、
デルタ航空から株式で20%の直接出資受け入れ
今後引き渡し予定の航空機のうち、一部をデルタが代わりに引き受ける
という、全面的な提携を発表したことです。
ラタムは、ワンワールドで最も資金豊潤なカタール航空からの出資を受けているにもかかわらず、アライアンス外の企業との全面提携…。
これは、本当に驚きのことですよね?
ましてデルタは、ライバルの「スカイチームの盟主」と言われる存在です。
ですから、この時点でワンワールドに所属しているラタムが、アライアンスからの脱退を発表することは、確実視されていましたが、翌日には
将来におけるワンワールドからの脱退
を表明しました。
そして、ワンワールド側もラタム航空の離脱について
非常に残念だが、承認する
と発表しました。
LATAM航空は、チリのラン航空とブラジルのTAM航空が合併してできた南米最大の航空グループであり、リーマンショック後、ブラジル経済の低迷の影響で業績が悪化していたタム航空をラン航空が吸収したというものが発足の経緯でした。
この時、ラン航空はワンワールド、タム航空はスターアライアンスに加盟していましたが、合併の経緯からスターアライアンスを脱退し、ワンワールドに残留となっていたのです。
しかし、今回の提携は、南米経済全体が低迷していることから、latamの経営も低迷しており、抜本的なテコ入れ策として、デルタとの資本提携となったという訳です。
特に、ラタムとしては、需要の伸びが低迷していることで、発注済みの航空機を効率的に利用できる見込みがないことから、まだ受け取っていない航空機をデルタが引き取ってくれるという部分が、今回の資本提携での最大の魅力だったのでしょうね。
航空機は、航空会社の一方的な都合で発注をキャンセルすると、多額の違約金を取られてしまうので、発注キャンセルはなかなかできないんですよね。
その典型例が「スカイマーク」で、スカイマークが倒産した最大の理由は、身の丈を超えたA380の大量発注をしたものの、需要低迷でキャンセルせざるを得なくなり、その際多額の違約金をエアバスから請求され、それを支払えずに倒産してしまったのです。
そして、今年ANAが、A380を「フライングボノ」と命名して、大々的にハワイ路線に就航させましたが、これはスカイマークが発注した分の一部を、引き取ったものだと言われています。
スカイマークは羽田枠をたくさん持っていたので、倒産した時、再建スポンサーを巡って、数社がスカイマークの争奪戦を繰り広げましたが、この時最大の債権者で発言力の強かったエアバスが、ANAによる救済を支持したのには、このA380の一部引き受けの密約があったからだということです。
話は逸れましたが、ラタムが脱退すると、ワンワールド世界一周航空券の最大の魅力の一つである、「イースター島」やマチュピチュを含めた南米の著名な観光地を効率的に、しかも安く周ることが出来なくなってしまうので、魅力は半減してしまいますね。
特に、イースター島の路線はラタムの独占ですから...
ワンワールドの場合、今後は、アメリカン航空の南米網で行ける範囲でしか、南米を安く観光することが出来なくなってしまう訳です。
それに、イースター島を周った後、LATAM航空のロサンゼルス行きに乗って、ペルーのリマで降りて、そこからクスコ迄LCCを使っていくことが出来た、あの「マチュピチュ遺跡」へのルート、それも設定できなくなるのも、非常に残念なことです。
ワンワールドは、加盟航空会社数は13社と3つのアライアンスで最も少ないですが、オセアニア最大の航空会社「カンタス航空」と「LATAM航空」という南半球で独占的な路線を持つ航空会社が2社入っていることが唯一の利点であり、これが一部欠けてしまうと、魅力が半減し、最悪の場合存続も危ぶまれる事態となります。
ただでさえ、カタール航空と、カンタス・アメリカン航空との間がこじれ気味なので、資金が豊潤なカタール航空がワンワールドからの離脱を仄めかしている状況ですからね。
カタール航空は、ワンワールドの盟主の1社であるブリティッシュエアウェイズの運営会社に大規模に出資しているので、最終的にワンワールドを抜けるようなことはないのでしょうが、不満を持っているのは確かです。
この出来事で、今回のプランに、イースター島を入れることは確定しました。
世界一周航空券でイースター島に行けるのは、最後の機会となりますからね。
そして、このラタム航空がワンワールドから脱退するというニュースが、世界一周航空券の予約への後押しとなり、「計画から決定へ」と大きく変化する決定打となりました。