先週の金曜日の引け後に東芝機械が、
と発表したことに続いて、本日の昼前のIRで、
前田建設工業と前田道路の対立が表面化(敵対的TOB実施の発表)
したことで、TOBが非常に話題になった一日でした。
まず、東芝機械の17日に開示したIRは、
「20日に旧村上系が発表するTOBの事前通告があった」
という、その情報を発表すべきか否か、まだ微妙な段階であるにもかかわらず、先に対抗策も含めて発表してしまったことが、こうした関係を発表する上での決まり事?に反するフライングっぽい扱いとなり、その後、このIRは見れなくなっています。
この件については、粉飾決算で経営危機に陥った東芝という親会社が、東芝機械株の大半を手放してしまったのと同時に、旧村上ファンド系による継続的な売買が始まったことで、以前から危機感を持っていた東芝機械の経営陣。
ファンド側から色々な要望もあったのでしょうが、それに応えなかったところ、ついに旧村上ファンド系から、TOB実施の事前通告というものが来てしまい、これに猛反発した経営陣が、先に対抗策を発表してしまっただけなのでしょう。
でも本来は、相手側のTOB実施の正式発表と同時に発表すべき「意見表明と対抗策のIR」。
なのに、事前通告の段階で、対抗策を発表してしまったというのは、極めて異例の事態であることから、この出来事に対して旧村上ファンド系からの抗議があって、このIRの事実上撤回に追い込まれたと見るべきでしょう。
ただ、発表してしまってから、IRの閲覧不能措置まで、時間があったことから、既に新聞の記事にもなってしまっており、この件を含めて、本当に実施されれば大揉めすることが確実なTOBです。
前田道路と前田建設工業の対立は、本日の午前11時5分、前田道路が突然、
提携の解消と前田建設工業が保有する前田道路株の全株買取りの提案をした
というIRを発表したことから表面化しました。
そして、午前11時半に前田建設工業が、前田道路株に対するTOB(1株3950円)を発表したことで、両社が激しく対立している事実が明らかになったのです。
前田建設工業からみて、前田道路は子会社にあたるものの、24.68%の保有割合しかないので、持分法適用会社でしかなく、それに前田道路自体が旧名は高野組という名称の、前田建設とは無関係な企業が源流であり、提携後に「前田」の名称に変更したという経緯であることから、事実上独立した別会社であり、前田建設の傘下にある子会社とは言い切れない状況だったのです。
ただし、道路業界は談合やカルテルのオンパレード業界で、たびたび公正取引員会の立入り調査があり、最終的に課徴金を課せられるような事態も続いていて、こうした面で前田道路もコンプライアンスに欠けている部分があることから、前田建設工業側としても、時代の流れに乗れずに取り残された道路業界にある子会社に対して、企業統治を強化するために、昨今の親子上場解消の流れに乗って、前田道路株の5割所有での子会社化を提案したようです。
ただ、これに猛反発した前田道路側が断固拒否したことから、このようなIR・TOB合戦になったのだと思います。
こちらの結末は、どうなるかわかりませんが、TOBの価格もかなり高く、資金力のある前田建設工業なので、他社の横槍が入らない限り、26%弱の取得を目指すだけのTOBですから、成立する可能性が極めて高いのだと思います。
しかし、午前11時5分に発表された前田道路のIRにチャンスを感じ取って、買い参戦した方々の見る目の素晴らしさに脱帽です。
(午前11時10分に売買停止措置となって、再開後はストップ高買い気配ですから、実質約5分間のチャンス、そして前田道路自体マイナー銘柄で注目度はゼロ、前田道路のIRを読んだだけでは、提携解消のどちらかと言えばネガティブガイダンスですし、不穏な空気ぐらいしか感じ取れないですからね)
そういうことで、旅人としては、前田道路に連れ高した道路大手他社に、少しだけ空売りを入れるくらいのことしかできませんでした。
追伸記事
結局、東芝機械に対するTOBは、21日午前9時6分頃に日経の速報で「1株3456円・44%分迄の買い付け」という、具体的な内容が流れました。
17日の東芝機械側によるフライング発表(もちろんこれは旧村上系に対する嫌がらせです)の影響で、20日に株価が3700円台にまで急騰してしまい、21日朝も寄り付き後、日経速報が出る直前に中途半端なTOB実施情報が流れた影響で、一時的に4000円超まで更に急騰したことから、最後の急騰時に買いで手を出した方は痛い目に遭ってしまう結果に。
旅人も、東芝機械について、20日に少しだけ買いで手を出しましたが、村上系といえば個人的に、十数年前の阪神電鉄株大騒動の時に空売りを入れてしまい、非常に痛い目(あと少しで資産マイナスという、資産の7割を溶かした超大負け)に遭い、悪い思い出しかないので、持ち越しは避けました。
前田道路のTOBで、20日に連れ高した某大手道路株の空売りも、「敵対的TOBの次の展開や親子上場解消への期待」といった心理を利用した踏み上げを食らって、失敗に終わりました。
他の銘柄でも負け、21日はトレード全敗で、今年初の「しっかり?マイナスの日」という、散々な結果でした😢。
まあ、こういう日もあります、気持ちを切り替えて明日へ。