「旅人:シュウ」の旅blog(&セミリタイア後の投資生活)

旅の資金は、投資利益で捻出しています。セミリタイア家計簿も。

2020年1月第4週の相場(コロナ肺炎・ネットワン・メルカリ等)

 

 今週は、新型コロナウィルスによる肺炎患者の急増に翻弄された相場でした。

 中華圏では金曜日から春節旧正月)が始まり、世界中に中華圏の旅行者が溢れるので、この長期休暇で新型コロナウィルスによる肺炎が、どの程度世界中に広がるのかに注意を払わないといけないですね。

 この肺炎、潜伏期間が最大2週間程度とやや長いのが特徴で、そのため、どのくらいの潜在的な罹患者がいるのか、全容が全く判明していない部分が最大の問題なのでしょう。

 春節が過ぎて、患者の拡散がある程度収まれば、不安感も収束方向に向かうのではないでしょうか?

 ただ、日本株は中国景気の影響が非常に大きく、コロナウィルス騒動がこれ以上広がると、個人消費のピークとなる春節に悪影響を与え、中国経済を下押しする要因となるのは避けられないことから、影響の少ないアメリカ株と異なり、暫く下落基調になるのは致し方のない状況です。

 しかし新型コロナウィルス関連で、特に中国関連株や旅行・空運株は、かなり下がりましたので、病気の拡散状況を見ながら、更に大きく下がったところでタイミングよく入れば、それなりに利幅を取れるのではないでしょうか?

 

✩相場関連で今週一番のニュースは、東芝の子会社である東芝ITサービスにおける不正会計問題(架空取引)が、ネットワンシステムズと日鉄ソリューションズ(NSSOL)に飛び火したことでしょう。

 この報道で特に、不正の主犯とみられる、ネットワンの株価が大暴落しました。

 ネットワンとNSSOLは、昨年12月13日に「国税当局から架空取引の指摘を受け、調査委員会を設置した」と発表しており、その時も株価が急落していましたが、当時も具体的な内容を一切語ろうとはせず、今回の新しい報道があっても、両社共に不正の概略すら発表しない姿勢を続けるという、極めて悪い対応のままです。

 今回、新たに発覚した東芝子会社の200億円規模の架空取引の詳細も、今のところ不明ですが、報道によると、この200億円は、2019年4月~9月の半年分だけで、それ以外の時期にもあるだろうとのことであり、それも架空売上げの流れは

   ネットワン→(東芝IT・富士電機子会社・みずほ東芝サービス)→NSSOL

で行われていたということだそうです。

 長年の慣習だったと考慮すれば、この架空売り上げ総額が、かなりの金額にのぼる可能性もあり、「実は、相当額の循環取引による不正な売上げ計上が、ネットワンの業績に入っていたのではないか」という疑惑が、より深まる結果に。

 ネットワンは、一連の不正の主犯格とみられていることと、同社の利益規模を考えると、この架空売上げによる利益かさ上げの影響がかなり大きいだろうと見られることから、東芝やNSSOLと異なり、株価が下げ続けているわけです。

 ネットワンは先日、2月13日に決算発表予定日を延期したばかりですが、ここにきて一連の厳しい報道の内容に、国税当局の指摘部分だけに絞った会社側に都合の良い情報だけ開示し、それを基に適宜調査を終わらせようとしていた調査委員会の弁護士先生方も、本腰を入れてキチンとやらざるを得ず、再延期は避けられないでしょう。

 最近、東芝神戸製鋼三菱自工を始め、東洋ゴムにKYB等、日本の大企業による不正会計や製品データの改竄等という、組織的な不正が相次いでいますが、これは

    行き過ぎた業績至上主義の蔓延

が原因なのでしょうね。

 

三菱自工と言えば今週、ディーゼルエンジンの排ガス検査不正疑惑でドイツ当局の捜査のメスが入ったということで、再び株価が急落しました。

(スズキも、オランダ当局から同様の指摘を受けて株価が下がっています)

 三菱自工は4年前にも、燃費データ改ざんで、巨額の特損を計上し、株価も大暴落しましたが、再び新たな疑惑が出たということは、元々の企業体質に問題があり過ぎるということでしょう。

(そういえばスズキも、国内向けの検査不正がありましたよね)

 ネットワンは、7年前にも悪質な脱税や架空取引が発覚した企業ですし、このように不正に手を染めて、かつて大きな批判を浴びた経験があっても、再びそれを繰り返す企業というのは、会社全体にそのようなことを許してしまう土壌があって、それを正すことは非常に困難であるということの裏返しが、今回の再度の不祥事発覚なのでしょうね。

 

✩木曜日に、メルカリがオリガミを買収を発表したことも今週の話題でしたが、赤字企業のメルカリが、赤字企業のオリガミ(25億の赤字)を巨額買収(非公表ですが、オリガミの資本金が50億円超・純資産が30億円超なので、買収額は100億円以上、200億円級かもしれません)したことに対して、当然のことながら市場からは厳しい評価が下され、メルカリの株価は急落となりました。

 オリガミはスマホ決済の老舗ですが、大手企業の参入に押されて黒字化の目途が立たないまま、競争の激化で赤字が急拡大し、大苦戦していましたから、オリガミ創業者や出資企業による今回の売却の判断、創業者にとってはイチから育てた企業を売るのは苦渋でしょうが、今しかない良い決断だったと思います。

 ZOZOの伸びが止まり、種々の施策を打つもうまくいかず、限界を感じて保有株を売却して退任した前澤氏と同様の判断ですね。

 メルカリは、本業の国内部門は黒字ですが、海外部門とペイメント事業が大赤字で、黒字化の見通しが全く立っていません。

 スマホ決済のペイメント事業は、現在のところ、各社入り乱れていますが、国内の事業者で生き残れるのはSB・ヤフー系のPayPay(ヤフーによるLINE買収で、LINEペイもペイペイに統合される)と巨大な楽天経済圏をバックとする楽天ペイだけなのではないでしょうか?

 海外勢を見ると、アップルペイ・グーグルペイ・アリペイ(中国・アリババ系)と超強豪揃いのこの業界ですから、メルペイはオリガミを吸収しても、弱者連合にすぎず、かなり厳しいと思います。

 メルカリと言えば、上場までかなりの紆余曲折(犯罪対策でイチャモンが付いて、上場が度々延期となっていた)はありましたが、当時、日本随一のユニコーン企業(潜在的時価総額が10億ドル以上の未上場企業)と言われ、鳴り物入りのIPOだったものの、結局株価は上場初日の6000円をピークに、その後大きく上がることは無く、低迷したまま。

 そして、本業の赤字解消の見通しが立っていないところに、ペイメント事業にまで手を出して赤字を膨らませていることで、現在、市場からはかなり厳しい評価を付けられているのですが、これは致し方ないことですね。

 旅人も上場初日に5000円台後半で手を出してしまい、かなり痛い目に遭った記憶が残っています(苦笑)。

 

 個人的にこの1週間は、買いも空売りもことごとく外れて、ほぼ負けてばかりという、最悪の日々の5日間でした。