今、世間を騒がせているのが、
NTTによる、総務省や政治家への大規模な接待攻勢と、それに伴う種々の疑惑
ですよね?
旧電電公社が民営化されたことで誕生したNTTですが、これは通信の自由化に伴う民営化でした。
民営化されたことで、株式が政府から売り出され、当時はバブル相場でしたから、NTT株狂騒曲を醸し出したことはあまりにも有名です。
応募が殺到した第一次売出しの権利を取って上手く立ち回った人は大儲けしたので、NTT株は一大ブームを引き起こし、その後第二次~第六次までの売出しが行われました。
ところが、株価が上がって売出し価格が高くなったり、バブル相場が終了したことで、株価は低迷し、結果的に損した人が非常に多く出てしまいました。
その為日本で「株はギャンブル」というイメージを植え付けた銘柄の筆頭格と言えるでしょう。
あまりにも巨大な独占的企業だった為、民営化後、暫時企業分割を命じられ、ドコモ・データ・東西と、主要な事業は順次分割されていきました。
その後、持ち株会社となりましたが、時代の変遷とともに、固定電話から携帯電話が主流となり、NTTの利益の大半をNTTドコモが稼ぎ出すように...
ここ数年、政権側から携帯電話料金の値下げ圧力が強くなっていましたが、政府が筆頭株主のNTTグループとしては、情勢次第では、いずれ値下げに対応しなければなりませんでした。
そこで、辞任した谷脇審議官等、値下げを求める菅議員(首相)に近い総務省の携帯事業の政策にかかわる高級官僚等を接待漬けにすることで、情勢を把握するとともに、圧力の緩和も図っていたのでしょう。
そして、万が一、値下げせざるを得なくなった際のNTT側の条件や要望なども、接待の席で談合していたことに疑う余地はありません。
そのNTT側の条件・要望というのが、「NTTドコモの完全子会社化」。
NTT自体が、「値下げの原資をねん出するためにドコモをTOBした」と言っているのですから、それが証左です。
完全子会社化し、ドコモの少数株利益をNTT本体に取り込めれば、名目上の利益が増え、値下げして少々利益が減っても、NTT本体の決算の数字には大きな影響を与えないで済む上、非公開化すれば、利益の減少を株主総会で追及されることも無いですからね。
また、時代に逆行するドコモ再統合により、余りにも巨大となるNTTへの批判が出るのは確実でした。
そこで、ドコモ再統合を反対する同業他社の強力な圧力をかわすために、筆頭株主である政府や政権側がTOB反対に回らないように根回しをする。
これらが、今回発覚したNTTによる総務省官僚や政治家への接待攻勢の中身だったのです。
ところで、NTTの澤田社長は、参考人招致で虚偽答弁を繰り返しています。
接待の席で、「業務の話は一切していない」って言い切っていますが、そんなことは絶対にあり得ません。
逆に言えば、業務の話を一切しない接待に、何の意味も無いからです。
実際にそうであれば、交際費がただの金の無駄遣いとなります。
意見交換の場だったと嘯いていますが、その意見交換には当然、業務の話が入っていたと見るべきです。
特に、最も関心があった「携帯電話料金値下げに関する話題」が必ず上がっていたのでしょう。
野党の追及は甘過ぎで、澤田君の言い訳に対し、それ以上突っ込むことも出来ず、全くお話になりません。
東北新社の社長の方が、「外国人持ち株比率は総務省に報告していた」と嘘を付けない部分について、ちゃんと話している分、澤田君よりだいぶマシですね。
今回の、NTTによる総務省接待は、NTTが純粋な民間企業でない以上、事実上の「官・官接待」。
今回の疑惑を機会に、NTTだけではなく、郵政やJT・JRやNHK等の三公社四現業と政府・高級官僚との間における事実上の「官・官接待」は、完全廃止にすべきだと個人的には思います。
ついでに、こちらの大臣、
NTTからの接待を複数回受けていた事実は、キチンと認めた方が良いと思いますけど...
国会で、
「国民が疑念を抱くような会食・会合に応じたことはございません」
と25回も繰り返したそうですが、この言葉を裏返せば、NTTからの接待は受けていたと言っているのと同じなのですから。