10月13日に1998年の1ドル147円64銭をあっさり突破した円安。
13日と18日に、政府・日銀が円買いドル売りのステルス介入を実施したものの、一時的に円安を食い止めることすら失敗し、150円に迫ってきています。
通貨安は、国際競争力を復活させて、産業の国内回帰が進み、日本経済が復活すると黒田東彦を始めとする一部の人達は未だに信じているようですが、それは人口構造がピラミッド型の国の場合にであって、現状の日本には当てはまりません。
行き過ぎた通貨安は国力の衰退に繋がります。
日本の様に、80年後に人口が6割減となる国では、国内市場が縮小してゆく上に、労働力人口も減少し、現時点でも労働力が足りない状態(コンビニやホテル等のサービス産業の従業員不足は留学ビザの外国人で何とか支えられている)なので、需要を求めて海外に出た産業が、大規模に国内回帰するのは不可能なのです。
工場を国内に戻したとしても、安い賃金で働く若い人が足りないのですから。
それに輸出ドライブをかければ、貿易摩擦に繋がるので、その国で消費する分は、その国で作るしかない時代なのです。
円安による物価高への不満が、日銀・政権批判に繋がらないよう誤魔化すために、財源が無いまま補助金のオンパレードとなっています。
ガソリンへの補助金は年間3兆円、電気・ガス代補助金は2兆円(旅行支援は2兆円)等と、借金だらけの国庫から大盤振る舞いでの垂れ流し状態。
補助金を無尽蔵に出し続ける政府と、その根本の円安を止めようとしない黒田日銀のやっていることは、本末転倒でメチャクチャです。
いずれ、既に支出してしまったコロナ関連の巨額補助金とガソリン・電気ガス等の補助金のツケは増税で穴埋めするのですかね?
ステルス増税のオンパレードで、負担率が4割を超えている日本の庶民に、これ以上増税すれば、中間層は没落し、貧民だらけの国になってしまいますよ。
就任以降、9年間に黒田東彦が述べてきた予測というものは、今迄ほぼ全てがハズレており、これ程経済・金融の先が見えない人が、日銀総裁なのですから、そりゃあ日本経済が衰退の一途を辿るのは至極当然のことです。
日銀の大規模金融緩和は、最終的には通貨安を引き起こし、日本経済を衰退させるだろうことは自明の理でしたが、こんなに早い時点で、通貨安が進むとは予想を遥かに超えていました。
今後、少子高齢化と人口減少で国力・経済力がドンドン衰退していくのに加えて、2010年代の日銀の大規模金融緩和によって発生した「ぬるま湯経済・ぬるま湯世代」が、日本の産業・人的な国際競争力を大きく低下させてしまったので、今後数十年、残念ながら日本の上がり目は皆無だと思います。
今回の円安は1ドル160円位で止まって、反転するでしょうが、次の世界的な景気サイクルでは1ドル200円、その次はもっと円安へと進む可能性が高く、その流れを止めることは、最早出来ないでしょうね。