バブル後、大きな経営危機に陥り、ルノーの資本注入によって生き延びた日産自動車。
しかし、再び経営不振に陥りつつあり、業績低迷とそれに伴う株価の低さに目をつけた、物言う株主(最近ではアクティブファンドとかアクティビストとか呼称しますが、一昔前ならハゲタカファンド)による株式の大量保有や、台湾・鴻海の手も伸びて来たので、政府に泣きつき、一旦ホンダとの経営統合を目指す形となったのが実態というところでしょう。
しかしホンダとしては、明らかにお荷物となる、自身より生産規模の大きい日産を抱えることはリスクが高過ぎ、経営統合を目指すと発表後、殆どの株主から猛烈な反対を受けたことや、更には、日産の大株主ルノーからも、「統合するのならば、日産株に相当のプレミアムを付けるべきだ」と要求されてしまい、やはり経営統合を見送るべきだとの方針に大きくブレたのだと思います。
統合比率は、剰余金や売れるラインナップが無い等を鑑みれば、
5対1程度
とすべき。
『対等』を求める日産に配慮するのは間違いですからね。
その結果、
『リストラの徹底』
『子会社化』
等の追加の厳しい要求をすることで、プライドの高い日産側から白紙撤回させるというやり方になったのだと思います。
日本の自動車業界は、世界最大の中国市場で急速に競争力を失い、シェアを大きく落としています。
日産は、中国事業の利益の占める割合が他社より高く、急速に経営が悪化。
しかも、アメリカ市場では、販売奨励金頼みの戦略に限界が来て、利益が急降下。
魅力的な車作りにも失敗しており、図体がデカいだけという存在に落ちぶれているのです。
生産能力は年間550万台規模。
現状の販売は年間330万台レベルに迄低下していて、全世界平均での工場稼働率は6割前後。
他社の稼働率は8割以上ですから、これでは利益も出ませんし、競争にもならない。
過去を振り返ると、
バブル期まで、トヨタ自動車と熾烈な首位争いを演じていたものの、万年業界2位だった日産自動車。
バブル崩壊後、マツダや三菱自動車工業(バブル期両社は、ホンダと激しい3位争いをしていた)と共に、急速に国内販売台数が減少し、販売台数のピークだったバブル期に合わせて新規投資してしまった過剰生産設備に苦しんだことで経営危機に陥ったのですが、現在再び同じ道を歩んでいるのです。
恐らく日産の再建には、3兆円程度の損失を計上するような大規模なリストラと生産設備の廃棄を実施しないと、成功しないでしょうが、日産自身プライドが非常に高く、大胆な生産縮小に踏み出せないのは確実です。
今回、ホンダに追加のリストラを求められても、5000人程度の解雇しか打ち出せず、生産ラインの速度を落として、生産能力を減らすというマヌケな提案をしたとも言われています。
数年後。
多分日産は、何処か異業種の海外企業に買収されているのでしょうが、プライドが高いままだと、それを受け入れられず自力再建を選んでいれば、今度こそ倒産への道を歩み始めているかもしれませんね。