相互関税は、不毛な貿易戦争へとエスカレートしつつ有ります。
既に、『トランプショック』と言われ始めた今回の世界的な株価の急落。
リーマンショック以来の本格的な景気後退に陥らない為には、相互関税の全面撤回しかありませんが......
独裁者というのは、常に敵を作り、それに対して強気な姿勢を見せ続けることで、熱狂的な支持者の継続的な支持を得られるのです。
だから、弱気の姿勢を見せることは絶対に出来ない。
今、トランプは、アメリカの政府機関(もちろん、軍も含みます)のトップの首を次から次へと、自身の熱狂的支持者へと入れ替えています。
過去四年間、敵対姿勢を見せた者達には、政治的な圧力を掛け、その権力に怯える各経営者達は、次次と軍門に下り、支援金の名目で、事実上の巨額の和解金を支払っている始末。
これが意味することは......
そうです。
相互関税を撤回することなんて、もはやあり得ないと見ておくべきでしょうね。
関税が素晴らしい未来をアメリカに持たらすという妄想の世界の人である以上、その信念を覆すつもりは無いでしょう。
新興宗教の信者を翻意させるのが極めて困難であるように、この4年間で形成されたドナルド・トランプの偏執的思想を変えさせることなんて、恐らく誰にも出来ないでしょう。
しかも彼は着々と、自身の権力が死ぬ迄続くように布石を打っている。
相互関税に対して、ディールで撤回させるという可能性もほぼ無いと見るべき。
そもそも、交渉する材料すら乏しい。
言いがかりのような理由で、関税を掛け始めたのですから、ディールなんて成立のしようがありません。
一部の日本のアナリストは呑気に、「トランプはディールの為に関税を掛け始めた」と言っていますが、それは第一次トランプ政権の時の話。
今回は、自身の信念に基づき、アメリカの薔薇色の未来の為に関税を掛けたのだと言っているのだし、今まで支持者にそう信じ込ませて来たのだから、簡単には撤回出来ないのです。
要は、相互関税撤回の見込みは厳しいということ。
そして、終身大統領を目指している可能性が高いということ。
それに反対するアメリカ国民を武力弾圧すべく準備も進めているということ。
選挙敗北後の2020年1月の議会襲撃は、そうした彼の思想が垣間見えたものに過ぎず、当面はアメリカという唯一の経済超大国に大きな翳りが掛かり続けると見ておく必要が有るのだということです。
世界経済成長のただ一つのエンジンがエンストするということは、当面株価が最高値を大幅に更新するような時は、無いと覚悟しておきましょう。