豊田自動織機のディスカウントTOBのニュースが市場に衝撃が広がる中、想定外の株価急落に見舞われていた銘柄があります。
それがクレハ。
クレラップで有名な化学メーカーです。
豊田自動織機とトヨタがTOBの発表をした1時間半後の午後5時。
実は、新たな巨額自社株買いをクレハが発表していたのです。
5月の決算発表と同時に150億の自社株買いや、大幅な増配を発表して、翌日一時ストップ高となっていたのですが、自社株買いの内容を大幅に変更するというものでした。
150億→350億に増額。
既に50億円分を実行済みだったので、実質的に今回一連の自社株買いの規模は400億円。
決算発表以後、株価はだいぶ上がっていましたので、クレハの時価総額は1800億円前後。
でも、相当なインパクトの筈ですよね?
ただ、朝方に市場外で一括買付という部分が、ややネガティブというものでした。
発行株数の20%超という自社株買いですから、本来なら株価急騰という内容ですが、まさかの急落。
豊田自動織機に続く値下がり率ランキング2位という結果でした。
この想定外の大下げの理由をアナリストやストラテジスト達は、一括買付で実施したことによる失望売りとしていますが、これは間違いでしょう。
クレハの大株主には、旧村上ファンドの名前が幾つか見えます。
野村氏やエスグラントコーポレーション等。
その保有株数が、今回の自社株買いの規模とほぼ同程度なのです。
これで、急落の理由がわかりますよね?
150億の自社株買いは市場買付で実施中だったのが、突然350億、1000万株に変更。
しかも市場外、3410円での実施という内容ですから、これは旧村上ファンド保有分を全て買い取るのに使われたと見るべきでしょう。
経営陣としては、業績がイマイチで株価が上がらない中、増配要求や自社株買い要求に苦しめられた結果、配当利回り7%超という、大幅な増配の実施を決めたばかりでしたが、ようやく株価が上がったので、買取交渉を進めた結果、旧村上ファンド側が応じたので、急遽自社株買いの内容を変更したのでしょう。
結果、100億円以上の勝ちをおさめた旧村上ファンド。
一方、クレハ側は自己資本を大幅に減らす結果に。
最近のアクティビティスト、物言う株主は、ハゲタカ化が顕著。
自分達が儲かれば良いという姿勢が目立ちますね。
これは憂慮すべき事態でしょうね。