最近、ニュースで「日経平均株価がバブル期以来の高値を付けた、バブルの株価に近づいている」というものをよく見かけますが、日経平均株価の連続性は、2000年4月の構成銘柄大規模入替えで途切れたことをご存知ですか?
ですから、30年前の日経平均株価の数字と比較するのは、大きな間違いであり、もし比較するのであれば、東証株価指数「TOPIX」で行うべきなのです。
2000年4月に実施された30銘柄もの入替え発表と、その後の大混乱(この入替えで日経平均株価は1週間で15%もの大暴落をした)により、それ以前の指数とそれ以後の指数の連続性が無くなっており、これは金融当局も概ね認めているところです。
その後も、毎年2~3銘柄程度の入替えが行われていますので、日経平均構成銘柄は、バブル期と比較すると半数以上入れ替わっています。
更に、2005年6月に指数の算出方法の変更もされているのです。
それに、現在の日経平均株価は、日銀買いの影響で、ユニクロ(ファーストリテイリング)のウエイトが1銘柄で12%もあり、2位のSBGも7%ものウエイトがあるので、たった2銘柄で日経平均株価の20%を占めるという、極端に歪んだ指数となっています。
他にも、買い一辺倒の巨額の日銀ETF買い(35兆円超)の影響で、日経平均が約10000円(1万円)嵩上げされているという事情もあるのです。
日銀買いの影響がいかに大きいかというのは、下の数字を見れば一目瞭然でしょう。
1989年・N225 38957円 TOPIX2884(日本のバブル経済)
2000年・N225 20833円 TOPIX1758(ITバブル)
2007年・N225 18300円 TOPIX1823(BRICS・資源バブル)
〇2018年・N225 24448円 TOPIX1911(直近の高値)
〇2021年・N225 30084円 TOPIX1954(コロナバブル)
これは、バブル期以降の株価の高値を示す二つの指数を並べたものです。
「〇」は、日銀買い開始以後の数字となります。
日銀買いが行われていない
2007年のTOPIX高値1823に対し、日経平均高値は18300円
だったのですが、昨日(2月15日)は
TOPIX終値1954に対して、日経平均はなんと30084円
と、明らかに日経平均だけが高くなっており、数値が歪んでいるのが分かります。
TOPIXは2007年比7%高程度なのに、日経平均は60%以上高いのですからね。
2018年高値と昨日(2021年2月15日)を比較しても、
なっており、この歪の主因は、時価総額の大きい高株価銘柄ばかりを買い入れている
日銀ETF買いの影響によるもの
とみるべきでしょう。
逆に、この一覧の比較から、日銀買いが行われていなければ、
昨日のTOPIX1954ポイントに対する日経平均は21000円前後
なのだと予想されます。
また逆に、バブル期のTOPIX2884を、
現在の日経平均株価に換算すると、約50000円
ということになり、バブル期の株価の凄さもよくわかります。
2~3年くらい前までは、日銀買いの影響について算出するレポート(当時で約7000円底上げされているというものでした)も出ていたのですが、もはや相場の世界では触れてはならないタブーとなっているようです。
日銀ETF買いが逆噴射するであろう、数年~十数年先には、巨額買い入れ責任者の
こちらの方は、後始末をすることなく来年で退任して、日銀の危機発生時には黄泉の世界に行ってしまっているかもしれませんが、まだ若い我々は、危機発生時に生きていた場合、通貨価値の急激な下落等の阿鼻叫喚を味わうことになるかもしれません。
「株価を上げ続けたい」という政権や政治家の意向に忖度し、他国では誰も実施していない「中央銀行による巨額株買い」を実施している日銀。
開始当初の総裁だった白川氏は、日銀による株買い入れについて「引き返せない道となってしまうのではないのか」と、当時は小額の買い入れでしたが、既に危惧を抱いていたことが、最近公開された日銀の記録で明らかになりましたが、まさにそのようになってきていると思います。
打ち続けるしかない一種の麻薬とも言える「日銀ETF買い」
今回のコロナバブル相場や日銀ETF買いの最終的な結末がどうなるのか、今のところ予測は難しいですが、個人投資家に出来ることは「利用できるものは利用して利益を出し、将来の最悪の事態も考えて備えておく」ということ位なのかもしれません。
黒田日銀が、「人口減少・経済縮小」という厳しい事態に陥る日本の近い将来を直視せず、相当危ない橋を渡り続けていることから、個人的な防衛策として、コロナバブル相場終焉以後は、日本株投資はお小遣い程度に縮小し、経済成長が見込める海外株への長期投資に変更するタイミングが来たのかなあと思っています。